在宅医療、中でも癌の終末期を家庭で過ごす「在宅ホスピス」のいろいろについて、たんぽぽ先生こと永井康徳院長に、元ライターで現・鍼灸マッサージ師・田村裕子が質問するコーナー。
「末期の癌である家族を自宅で看病すること」、「自宅で、家族に見守られながら旅立つということ」・・・など、数多くの在宅での看取りを経験してきた医師だからこそ言える、在宅ホスピスの様子を紹介していきます。 |
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田村:癌患者、それも末期というか終末期の癌患者を自宅で家族が看病するなんて可能なんですか?
永井:可能ですよ。
田村:私の両親は癌で亡くなりましたが、あの終末期を家族だけで面倒見ることなんて無理だと思えるのですが。 |
永井:自宅で療養するからといって、家族だけで面倒を看るわけじゃないですからね。ウチのように医師や看護師が患者さんの家まで出向く医療機関もありますし、今は患者さんが40歳以上なら介護保険も利用できるんですよ。医師や看護師、薬剤師やケアマネージャー、ヘルパーなど、多くの専門スタッフが在宅での療養生活をサポートしますから、家族だけですべてを背負い込むなんて、考えなくていいんです。
田村:でもベッドの購入など、介護用品の出費もかさみそう・・・。
永井:介護保険を利用すれば、介護用のベッドや車椅子などを安価でレンタルすることも可能です。考えている以上に、在宅での療養をサポートする社会サービスが充実していますから、それを有効に活用すればいいんですよ。
田村:なるほど・・・。ゆうの森で働き始めてわかったのですが、自宅で最期を迎えたいという方って多いですよね。
永井:明浜町の診療所時代も含めると、400人弱の方の自宅での看取りに関わりました。たんぽぽクリニックが関わった患者さまで、自宅で亡くなった方の約3分の2の患者さまは癌でしたね。
田村:え〜っ!自宅で亡くなる癌患者さんって、多いんですね。
永井:癌になって余命を宣告されたら、癌ととことん戦うという選択もありますし、自分の死を選ぶという選択もあります。
田村:自分の死を選ぶ、ですか?
永井:ええ。余命を宣告されたら、まず頭に浮かぶのが自分の亡くなるときのことだと思います。どこで亡くなりたいか・・・病院なのか、ホスピスなのか、それとも自宅なのか。
田村:死ぬ場所も実はいろいろあるわけですね。
永井:そうです。そして僕は、自宅で亡くなりたいという方の願いに応えたいのです。そのためには、絶対に365日24時間、医師と看護師が対応できる体制が必要なんですよ。じゃないと、不安でしょ?
田村:そうですよね。急に状態が悪くなった時だけじゃなくって、様子がいつもと少し違うってくらいの時でも、気軽に相談できたら安心ですよね。だから、たんぽぽクリニックと訪問看護ステーションコスモスは365日24時間対応で、いつでも連絡や訪問ができるようにしているのですね。
永井:あと、もう一つ。末期の癌患者さんが自宅で療養する際に、不可欠なものがあります。
田村:24時間の医療体制の他にも大切なもの?何ですか?
永井:「痛みのコントロール」です。
田村:痛みのコントロール??具体的にどういうことなのでしょう。
永井:癌の終末期には痛みがつきものですが、痛みがあるのは医者の責任だと、僕は考えています。
人間は皆、いつか必ず亡くなります。すごい名医がいて病気を治したとしても、それでも人間は、いつかは必ず亡くなるのです。人間は命をコントロールすることはできません、医療には限界があるのです。でも、死は避けられないとしても、痛みを取って楽にする治療はいくらでもあります。だから、僕たちが患者さんとかかわるときは、痛みを取る努力をとことんしていきますよ。
田村:痛みを取るのは、やはりお薬とかでですか?
永井:そう。飲み薬やはり薬、坐薬などがあり、癌の痛みを十分和らげることができるんですよ。入院しているときと遜色のない緩和医療が、自宅でも受けられるのです。
田村:痛みに苦しむ家族を見るのは辛いですからね。自宅で、急な痛みに襲われたときでも薬で和らげることができるし、それでも心配なら、いつでも医師や看護師に連絡がつく・・・。そこまで体制が整っているのであれば、自宅での療養も安心してできますね。
ところで先生、自宅で療養できる症状の限度というか、病状での可能不可能っていうのは?
永井:ありません。どんな状態であっても、患者さんご本人とご家族が、家に帰りたい、家に連れて帰りたいと願っているなら、自宅に帰ることはできます。不安でしたら、電話でもメールででも、ご相談いただけたらと思います。
癌のような大変な病気は、病院で診てもらって、病院で亡くなるのが当たり前と思っていた私には、目からウロコを通り越して、少しショックでもありました。
次回からは、自宅での療養を選んだ患者さんとご家族の実際にあったお話から、自宅で終末期を過ごすことについて話を聞いていきます。
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