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コラムNO6 院長 永井康徳「老木が枯れるように」

岩政喜久恵
院長 永井康徳
 患者様や患者様のご家族から「どうすれば一番楽に最期を迎えられるのですか?」とよく質問を受けます。そのときは、「自然に看るのが一番楽なんですよ。」とお答えします。
「自然に看る」とはどういうことなのでしょうか?病状が悪化していくと、動くのが難しくなってきます。そして、亡くなる前には必ずご飯がたべられなくなり、息もしんどくなってきます。もちろん、病気を治すことが可能であれば、私たちも医療従事者として治療をお勧めする選択肢を提示していきますが、それでも、いわゆる“名医”がいくら病気を治したとしても、人間はこの世に生を受けた以上、必ずいつかは亡くなるのです。それは避けることはできません。そうとすれば、誰もが死の直前にねたきりとなり、食事がとれなくなり、呼吸がしんどくなるのは当たり前のことなのです。

 人類の歴史が始まって以来、ここ何十年かまで、病院もなく、医者も少なく、最期は診断もつかないまま、状態が悪くなると、食事がとれなくなり、脱水となって、ひからびるようにして、自宅でなくなられていたと考えられます。おそらく、昭和時代に入り、第二次世界大戦が終わるころまでは、ほとんどの方が、最期に病院で点滴などをすることなく、自宅で枯れるようになくなってきたことでしょう。最近、日本では医療が発達し、病院が整備され、今は何と80%以上の方が、最期は病院で亡くなるという時代となりました。病院は治療を行なう場所ですから、たべられなくなったら、そのまま放っておくことはなく、点滴をします。亡くなるまで、血管を確保し、点滴を続けることが多いです。口から水分をとるのは自分の体の中である程度調整していけますが、点滴で強制的に血管内に水分をいれると、体の中で処理できず、むくみや胸腹水、痰など本人がかえってしんどくなってくることが多くなります。老木が枯れるように脱水気味で亡くなるのが一番楽だと私は考えています。脱水になると体で処理できないいろいろな要因がすべてとれてきて、傾眠傾向となり、あまりしんどさも感じなくなるようになります。病気そのものが良くならない以上、苦しい時間は長くせず、しんどい時間はできるだけ短く楽に過ごさせてあげるのが一番だと考えます。

院長 永井康徳  最期まで病院で病気と戦いながら、1分1秒でも長く生きるという選択肢も当然あるでしょう。でも、ホスピスや自宅で“楽になる”ことを優先しながら“自然に看る”最期もあります。ただ、最近は病院医療の発達で、“老木が枯れるように”体をドライにしてなくなることは少ないのが現状です。自分や自分の家族もいつか必ず亡くなります。そのときに、どのような最期を迎えたいか事前に考えておくことも必要かもしれません。


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