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在宅医療、中でも癌の終末期を家庭で過ごす「在宅ホスピス」のいろいろについて、たんぽぽ先生こと永井康徳院長に、元ライターで現・鍼灸マッサージ師・田村裕子が質問するコーナー。
「末期の癌である家族を自宅で看病すること」、「自宅で、家族に見守られながら旅立つということ」・・・など、数多くの在宅での看取りを経験してきた医師だからこそ言える、在宅ホスピスの様子を紹介していきます。 |
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田村:先生、在宅で療養される末期がん患者さまに対して、特に心がけている「3つのお約束」があるということですが。
永井:3つのお約束というか、方針というのが、あります。
田村:それは、先生の経験から生まれたものですか?
永井:
はい。末期がん患者さまと接する中で生まれたもので、それは「楽なように」「やりたいように」「悔いが残らないように」という3つです。
田村:では、最初の「楽なように」から教えてください。
永井:痛みを感じているなら、とにかくその痛みをなんとかしてあげたいということです。
田村:その一で伺った「痛みのコントロール」ですね。
永井:
そうです。僕は、痛みが取れないのは、医者の責任だと思っています。痛かったら、どんどん文句を言ってほしい。痛みを取って楽にする治療なら、いくらでもあります。今は、在宅であっても、病院と遜色ない痛みのコントロールができますから。
田村:そういえば、私が担当させていただいた患者さまで、「永井先生は、なんとしてでも痛みをとりますからねって言っていたけど、マッサージで痛みを取ってくれる方法まであったんですね」と喜んでくださった方がいらっしゃいました。
永井:ほう、そうですか…そうなんです! うちにはマッサージという手段もあります(笑)
田村:
ありがとうございます!私の部署の宣伝をさせていただきました(笑)
次に、「やりたいように」について教えてください。
永井:病院というのは、治療のために我慢をするところですが、命が限られているときに、何かを制限されるというのは辛いことです。
田村:確かに、病室ではたばこもお酒も厳禁ですからね。
永井:ええ。その点、自宅だと好きにできますからね。そういう気持ちから、自宅に帰りたいと望む患者さまもいます。たばこが好きな方なら、呼吸不全で常に酸素吸入が必要な状態であっても、たばこを吸いたいと願うようですし。
田村:そういう患者さまがいらっしゃったのですか?
永井:はい。胆管がんの末期患者さまで、どうしても家に帰りたいといっているので、診てもらえるかと総合病院の主治医の先生から連絡があったのですが、ご本人は、医者や看護師が家に来ることを嫌がっていたのですよ。
田村:で、どうされたのですか?
永井:
「楽にするためにきました」と言ったら、受け入れてもらえました。
田村:家に医師や看護師が来ると、病院と同じように何かを制限されると思っていたのでしょうね。
永井:
その方は、家に帰ってからは、酸素吸入の管をはずしてたばこを吸ったり、少しですがビールを飲んだりもされていたようです。
田村:病院では、絶対できないことですね。
永井:
それから2週間くらいでしたが、息子さんと奥様がつきっきりで面倒を看られて、自宅でお亡くなりになりました。亡くなられた後、息子さんが「おやじ、もうたばこは吸えんのよなあ」と言って、たばこに火をつけ、お父さんの口にくわえさせられたのですが、こちらも思わずじ〜んと胸が熱くなりました。
田村:
最後にやりたいことをやらせてあげられて、ご家族も少し救われた気持ちになったでしょうね。
永井:喫煙や飲酒は、医療的には禁忌ですが、本人にやりたいようにさせてあげる、本人のわがままに応えるのが在宅医療だと、僕は考えています。
矢野先生の話ですが、腸閉塞の患者さまで、どうしてもお寿司が食べたいというので、小さく切って食べさせてあげたこともあるのですよ。
田村:食べていいのですか?
永井:すぐに吐いてしまうので、腸閉塞の患者に何かを食べさせるなんて、病院では絶対禁忌ですよ。ですから矢野先生は、食べさせてあげて、すぐにチューブでそのお寿司を胃から引いてあげたんです。
田村:え〜〜〜っ!!そういうことも、ありなんですね!
永井:ご本人もご家族も、食べるとすぐに吐くことはわかっていたけど、それでも食べたい、食べさせたいと願ったんですね。
田村:在宅医療ならではの裏ワザですね。驚きました。
では、最後の「悔いが残らないように」について教えてください。
永井:家で過ごすこと、亡くなることが良いということはありません。病院がいい場合もあれば、ホスピスがいい場合だってある。
田村:介護力の問題がありますからね。私の両親は二人とも病院で亡くなりましたが、それがベストだったと思っています。病院でもよくしていただきましたし。
永井:「これでよかったのか」とご本人、ご家族ともに思うことがあったときに、「それで正解だったんですよ」と言ってあげられるよう、多くの選択肢を提案し、その内容も十分に説明したいと思っています。医師側に知識がなければ、選択肢を提案できませんからね。
田村:在宅で過ごす利点や欠点、病院やホスピスで過ごす利点や欠点を知った上で、患者ご本人やご家族が、どこで過ごすか決めていけばいいわけですね。
永井:決めたら、ずっとそこにいなければいけないというわけでもありません。ちょっとだけ家に帰りたいということもできるのです。やはり末期の患者さまで、呼吸がしんどくて退院できないのですが、どうしても家に帰りたいとおっしゃる方がいらっしゃいました。その方は自宅でも酸素吸入をしながら過ごされたのですが、家に帰っている間に、大事にされていたご自分の船の処分をされて、満足して病院に帰っていかれました。
田村:病院ではできない、やりたいことや心残りなことを自宅にいる間にされたわけですね。そういう在宅ホスピスの過ごし方もあるということですね。
永井:ご本人も、ご家族も悔いを残さないためにも、残された時間で、何をしてあげられるのかを一緒に考えていきたいのです。そのためにも、あとどれだけ生きられるのかをご本人が知ることは大切だと考えています。
田村:「告知」ですね。先生、これは難しい問題ですよ。
永井:でも、本人がやりたいことをできるかどうかにかかわってきます。告知を望まないという方もいらっしゃるでしょう。しかし、告知をすることにもしないことにも、利点と欠点があります。
田村:わかります。告知については、私も大変悩んだ経験があります。では先生、次回は「告知」という重いテーマでお願いします。私も次回は、語りますよ〜!
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