著者:永井康徳
私の新刊『後悔しないお別れのために33の大切なこと』についてお話しさせていただきます。
この本には、私がこれまで医師として、そして一人の人間として経験してきた「お別れの現場」での大切な学びを詰め込みました。
"後悔しないお別れ"って、どうすればできるんだろう?──そんな問いから始まった一冊です。
◆ 死を見つめることで、人生が変わった
私自身、40代で父を看取り、47歳のときには自分ががんと診断され、死と真正面から向き合うことになりました。
それまで「死」は、どこか遠いもの、"三人称の死"として見ていた気がします。けれど、自分の親を見送り、自分の命にも限りを感じたことで、初めて「死は自分ごと」になりました。
そこから、生き方そのものが変わったのです。
「人はいつか必ず死ぬ。でもだからこそ、今日という日を思いきり生きよう」と。
◆ 死を知ると、生きる力が湧いてくる
多くの人が「死は怖いもの」と思っています。
でも、それは"知らないから怖い"という側面が大きいと私は感じています。
本書では、「死の医学的なしくみ」「天寿をまっとうするという考え方」「"QOD(Quality of Death)="死の質"という視点」など、知っておくだけで安心できることも紹介しています。
◆ 実際にあった、後悔しないお別れのエピソード
たとえば、100歳のおばあちゃんが「最期にお風呂に入りたい」と願い、入浴の日にご家族と一緒に穏やかな時間を過ごされたお話。
また、102歳の方が「もう食べられなくなったら点滴はしないで」と言い、静かに天寿を全うされたお話──
「最期まで、本人らしく過ごす」ことを支えるのが、私たち医療者の役割だと思っています。
◆ 在宅で看取るという選択
日本では、今でも7割以上の方が病院で亡くなっています。
けれど、家で、家族と過ごしながら最期を迎えたいという方はとても多いのです。
本書では、「食支援」や「入浴支援」など、在宅医療だからこそできる"その人らしいお別れ"の実例を数多く紹介しています。
◆ 死に備えることは、生きる力になる
この本は「死に備えましょう」という堅苦しい本ではありません。
むしろ、「どう生ききるか」「どう大切な人と過ごすか」を考えるための一冊です。
もし、あなたやあなたの大切な人が、"その時"を迎えることになったら──
できるだけ後悔の少ないお別れにしていただきたい。そのためのヒントを、33の視点でまとめました。
◆ 最後に
『後悔しないお別れのために33の大切なこと』、ぜひお手に取ってみてください。
そして、よかったらYouTube『たんぽぽ先生の在宅医療チャンネル』をご覧いただき、一緒に「よりよく生きる・よりよく看取る」ことについて考えていけたら嬉しいです。