たんぽぽコラム

在宅医療の制度の知識

著者:永井康徳

  

第13回 たんぽぽ先生が選ぶ 在宅医療インパクトランキングトップ10【第7位】

2026年診療報酬改定インパクトランキング、第7位を発表いたします。


第7位 在宅療養指導管理料の改定 ~5項目の複合改定~

「適正化」「対象拡大」「新設」という三つの方向性が組み合わさった、非常に内容の濃い見直しとなっています。それでは、見ていきましょう。

■全体像
今回の改定は、5つの項目で構成されています。
 1. CPAPの適正化
 2. 在宅麻薬等注射指導管理料の対象拡大 ※最重要ポイント
 3. 在宅ハイフローセラピー指導管理料2の新設
 4. 在宅自己腹膜灌流指導管理料2の新設
 5. 在宅難治性皮膚疾患処置指導管理料の別表第8への追加

それでは順に見ていきます。

【項目1】CPAPの適正化
まず1つ目、在宅持続陽圧呼吸療法指導管理料2が、250点から240点へ引き下げられました。
最大のポイントは、直近3カ月全ての月でCPAPの1日平均使用時間が1時間未満の場合、当月は算定不可となったことです。
ただし、定期的なモニタリングを行ったうえで、直近3カ月以内に「1日4時間以上使用した日」が20日以上ある月の割合が4割以上であれば、新設の「持続陽圧呼吸療法充実体制加算 15点」が算定できます。
これは、遠隔モニタリングにより使用実績の把握が容易になったことを背景に、実質的に使用していない患者への漫然とした算定を制限する措置です。
全国で50万人以上にCPAPが行われているとされ、影響は決して小さくありません。なお、機器の貸与自体は継続でき、材料加算で費用はカバーされます。

【項目2】在宅麻薬等注射指導管理料の対象拡大【最重要】
2つ目、今回の改定における最重要ポイントです。
在宅麻薬等注射指導管理料1500点の対象に、「末期腎不全」が新たに追加されました。
これまでは、悪性腫瘍、ALS、筋ジストロフィー、心不全、呼吸器疾患に限られていました。今回、透析中止や保存的腎臓療法(CKM)を選択した末期腎不全患者に対して、在宅での持続的な鎮痛療法を行うことが報酬上も評価されるようになったのです。
これは、「在宅における腎不全緩和ケア」という新たな領域が公的に開かれたと言える画期的な改定です。
具体的には、モルヒネ塩酸塩製剤やフェンタニルクエン酸塩製剤の注射、あるいは携帯型ディスポーザブル注入ポンプや輸液ポンプを用いた注入療法が対象となります。注入ポンプ加算1250点、携帯型ディスポーザブル注入ポンプ加算2500点との併算定も可能です。
透析を選択しない、最期まで自宅で過ごしたい——そうした患者さんの希望に応える在宅医療の選択肢が、確実に広がりました。

【項目3】在宅ハイフローセラピー指導管理料2の新設
3つ目、在宅ハイフローセラピー指導管理料2、2400点が新設されました。
対象は、重度の低酸素血症患者に対し、高濃度の酸素吸入を伴う在宅ハイフローセラピーを行った場合です。
ハイフローセラピーは、鼻カニュラから加温・加湿した高流量の空気・酸素混合ガスを供給する呼吸管理法で、これまでは主に院内で行われてきました。
これにより、COPDや間質性肺炎など慢性呼吸不全患者の在宅呼吸管理の選択肢が大きく広がります。病院から在宅へのスムーズな移行を後押しする、意義の大きい新設項目です。

【項目4】在宅自己腹膜灌流指導管理料2の新設
4つ目、在宅自己腹膜灌流指導管理料2、1500点の新設です。
これは、管理料1(4000点)を算定するかかりつけ医などからの依頼に基づき、基幹病院などの他の医療機関が腹膜透析の導入に関する指導管理を行った場合に、2回に限り算定できるものです。
つまり、腹膜透析(PD)患者の地域連携モデルを評価する報酬体系であり、基幹病院とかかりつけ医の役割分担と連携を強力に後押しします。さらに、遠隔モニタリング加算115点との組み合わせも可能です。
腹膜透析は患者さんのQOLが高い一方で、地域での管理に不安を抱える医療機関も多いなか、この連携モデルの評価はPD普及の大きな追い風になるでしょう。

【項目5】在宅難治性皮膚疾患処置指導管理料の別表第8追加
5つ目、在宅難治性皮膚疾患処置指導管理料が、別表第8に追加されました。これにより訪問看護でも関連の医療材料が支給対象となり、難治性皮膚疾患の在宅管理がより実施しやすくなります。

■終わりに
今回の5項目複合改定は、
• 適正化により実態に即した算定へ
• 対象拡大により「腎不全緩和ケア」という新領域を開拓
• 新設項目によりハイフローセラピーや腹膜透析の在宅管理を後押し
という、在宅医療の「質」と「幅」を同時に高める内容です。

特に末期腎不全患者への在宅麻薬等注射の評価は、これからの在宅緩和ケアの大きなテーマとなっていくでしょう。

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