たんぽぽコラム

在宅医療の質を高める

著者:永井康徳

  

第4回 続編 たんぽぽ先生の在宅医療エッセイ ~本人の最善に向き合う!~

拙著は、「たんぽぽ先生の在宅医療エッセイ」の続編として、愛媛新聞四季録の後半半年の連載分を掲載し、その後に新たに執筆した未掲載の内容を加えて出版しました。

私が在宅医療専門のクリニックを開業してから21年以上経ちました。最近では、松山市内にも在宅医療を積極的に行う診療所や病院が増えました。また、介護保険や医療保険など、国は制度の面でも在宅医療を強力に後押ししています。それにも関わらず、病院で亡くなる人の割合は相変わらず7割近くと高いままなのです。

在宅医療が発展しても、なぜ自宅での看取りは増えないのでしょうか?私は医療者も住民も死に向き合いきれておらず、在宅医療をイメージできないことが原因ではないかと考えています。

医師が患者の死に向き合い、患者さんやご家族が「死」に向き合えるように支援すると同時に、国民一人一人が「死」や「看取り」への意識を変えていくことで、これからの日本人の生き方や逝き方が変わってくると思います。そして、病院の医療者や住民の方たちが、どのように在宅医療でみていけるのか、自宅での看取りがどのようなものなのかをイメージできれば、在宅医療という選択肢を選択することが多くなるのではないか、そう思って、私はこの本を出版したのです。

7割以上の人が病院で亡くなる日本社会で、在宅医療や自宅での看取りを広げていくのはまだまだ道半ばではありますが、「生き方」や「逝き方」も含めた医療の在り方をこれからも探りながら、皆さんにお伝えしていければと思います。皆さんの人生の選択肢の一つとして、在宅医療が一助となれば幸いです。

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