医療法人社団ひなた ひなた在宅クリニック山王
医師 金盛 将之 様 看護師 甘田 三樹 様 看護師 平井 理美 様
総務 佐藤 唯衣 様 総務 持田 寿光 様
2019年に開院された東京の『ひなた在宅クリニック山王』より5名の皆様がご見学に来訪されました。品川区・大田区を中心に慢性期から終末期の患者様まで診療され、特に終末期ケアに力を注がれています。今回は、医療職のみならず事務職の方にも来訪いただき、患者情報の管理やITツールの活用方法等に関してもご見学されました。
見学後の感想(一部抜粋)
◆見学を通し、どの部署の方も一貫して気持ちの良い挨拶をしてくださったのが印象的でした。「人として」のマナーや態度が素晴らしいなと感じました。クレドにより職員の目指すべき方向性や法人として大切にしていることが浸透している証だと感じました。
◆なんでも相談室はクリニックの顔で窓口であること、全国からの相談に対して丁寧に対応されていることに感銘を受けました。
◆キントーンの運用については、私共が目指す将来像を見た気がしました。理念の実現のために、どのようなシステムが必要となるのかを検討し具現化しているように感じました。データ集計を行い、患者数の調整や依頼件数等の把握、営業アプローチの検討を行っていることは当院でも取り入れたいと思います。
◆問題に対してチーム全体で取り組むことが重要であることを学び、実践したいと思います。
◆看護師の離職や疲弊が予防できるよう常にフォローする意識を持つこと、無理をさせないこと等、日々業務に追われる中でこのような意識を持ちたいと刺激を受けました。
◆多職種で連携できるよう各部門が責任を持って情報を処理すること、理念を実現するためのシステムを活用することで方向性や意識の統一が図れることを学びました。
◆「医療の資格がない人でも患者様を支援できることはある」という言葉に胸を突かれました。当院でも様々な知恵を出しながら支援できることを模索していきたいと思います。
◆初診カルテに記載されている内容が細かく網羅されており、初見でもイメージしやすく、情報連携の精度が高く、とても参考になりました。
◆様々な医療職が一丸となり対応にあたることで、クオリティの高い医療技術の提供ができ、チーム内でもスキル向上が望めるものと感じました。
◆患者様のやりたいことを支援する試みについて、一人の患者様のために多くの職種のスタッフが力と知恵を合わせてサポートしている様子に感動しました。患者様の食べたいものをムース食で作られており、その見た目の完成度に調理師・管理栄養士の創意工夫が感じられました。
◆「患者様の生きがいをサポートする」ことを実際に行動に移し、職員の方々も楽しみながら実践されているところに、法人としての患者様への思いの強さや信念を感じました。
◆「5つの呪文」を職員に配布したところ、見やすくて、重要なポイントが盛り込まれていて有難いと喜ばれました。
◆今回の見学を通じて、非常に有意義で、そして良い意味でのショックと刺激を受けました。ありがとうございました。
東京ふれあい医療生活協同組合 梶原診療所 山本 陽介 先生
東京都北区にある東京ふれあい医療生活協同組合 梶原診療所から山本陽介先生がご見学に来訪されました。梶原診療所は、内科外来と訪問診療を併設されており、近隣に関連施設の認知症外来専門のオレンジホットクリニックなどとも医師の行き来をされているそうです。訪問診療では現在200名以上の患者様を抱えられており、在宅医療専門医プログラムにも参加されています。今年の2月にも、他のドクターが当院をご見学されました。
見学後の感想(一部抜粋)
◆永井先生との直接のお話の機会も設けていただき、誠に感謝しております。私自身が理想的と感じる自然な看取りに関してのご意見も直接いただき、運営のための日々の取り組みも伺え、非常に学びの多い研修にさせていただけました。
◆書籍で確認はしていた内容も、実際に診療の際の動きやお考えを伺ったことで、より日々の診療に具体的に落とし込むイメージや裏付けをいただけました。どういった診療が在宅医療として継続性があるかというお話しが伺えて特によかったです。
◆永井先生の"急性期病院の医療を在宅に持ち込まない"診療を拝見して、自身の診療の背中を押していただけたような気持ちになりました。
◆朝の始業時から、組織全体の統制や方向性の指針とも言えるクレドなども拝見し、車中でのお話でも先生のプロフェッショナルとしての意識から、私自身の日々の診療もさらに気を引き締めて行なっていくべきだと感じました。
◆臨時往診の際の対応に関しても迅速に行われており、普段の診療の様子を多く拝見できて非常に満足のいく見学でしたが、午後も系統だった見学のスケジュールを調整いただき、見学者に対するホスピタリティも高いことに驚きました。
◆「在宅なんでも相談室」の運営への関与なども(一常勤医師の立場ですが)日々問題意識を感じていたため、非常に参考になりました。都内でも訪問診療の新規開業は多く、一定の認知や活動を行わなければ、紹介患者の偏在化を生じてしまうことは同様の状況と感じています。現状に甘んじずにデータ収集や活動をされているご様子は、今後自身で勤務する際にも意識して組織全体を見るための学びとなりました。
◆自身が愛媛県内で勤務していた際には救急科であったため、交流は少なかったものの、こうして県外に出た後で、貴院の活動を拝見して、「あの方は紹介させていただいていれば・・・」と感じる患者様もいましたが、自身でも情報収集をしておくべきだったと感じました。
医療法人潮かぜ会 露木 久則 事務長
2010年に開設され、神奈川県の横須賀・逗子・葉山・三浦全域をカバーする『医療法人潮かぜ会』から露木久則事務長 様がご見学に来訪されました。訪問診療を中心に外来診療も含め、患者様とご家族様に「安心を提供する」を念頭に日々寄り添える医療を提供されています。今回は、看護師の役割や多職種の必要性、情報共有の在り方などを中心にご見学されました。
見学後の感想(一部抜粋)
◆今回は、お忙しいなか施設見学と意見交換の場を設けて頂き誠に有難うございました。 一般急性期病院での勤務が長かった私にとって在宅医療は新たな分野でもあり、また これからとても重要な役割を担う分野であると実感。そこで全国的にも知名度の高い医療法人ゆうの森様を見学できた事は、これからの自分の役割を改めて確認する事ができました。
◆永井理事長の「24時間365日対応しながら職員が疲弊しない組織」この言葉がこれからの在宅医療を支える為の重要な言葉であると実感いたしました。
◆当院は訪問同行に関し、看護師ではなく事務スタッフが同行、夜間のファースト コールも事務スタッフで対応しておりますが、看護師による同行のメリット、また電子カルテをあえて持参せずに対応する姿勢、そこには "患者の気持ち、患者からの期待"に応えることが出来る医療を目指す貴院の姿を見ることができたと感じました。
◆点滴して栄養を確保するのではなく、食べたい気持ちに応えること、管理栄養士さんや調理師さんの努力のすばらしさ、患者さんが食べれた喜ぶ姿を見た時に、患者さんのQOLを大切にされている姿勢に涙がでる程の感動を共有することができました。
◆患者さんを一人の人として診るのか?単なる症例として扱うのか?その違いを目の当たりにし、在宅医療の素晴らしさを実感することが出来ました。
◆今回の見学を通し、他職種連携の必要性、医師や看護師の連携、それを支えているスタッフの皆さん、すべての職員がそれぞれの業務をプロフェッショナルとして担い、チームとして連携されている姿を当院にも浸透できるように取り組みたいと思いました。
◆お忙しい中、色々と教えて頂き本当に感謝致します。医療を必要とされる患者さんの「最後の砦」として信頼されるよう努力したいと強く感じました。本当に有難うございました。
札幌在宅クリニックそよ風・白石 和田 吉生 院長 島奈 津美 看護師
札幌市白石区に2023年4月に開院した在宅医療専門クリニック『札幌在宅クリニックそよ風・白石」から和田吉生 院長と看護師の島奈津美 様がご見学にご来訪されました。札幌市清田区にある札幌在宅クリニックそよ風の分院(サテライト)として開院され、24時間365日、患者様の暮らしに寄り添い、安心して心豊かにいられることを支援したいと願い、日々の診療に励んでいらっしゃいます。
見学後の感想(一部抜粋)
◆20年超にわたり在宅医療を展開し、組織も大きくなっている貴院において、職員にどのように理念を浸透させ、仕事の方向性を揃えているのか、大変興味を抱いておりました。朝のカンファレンスにその方策の一部を垣間見ることができました。当院はまだまだ小さな組織ですが、6月以降、新規入職者が増えているため、職員みんなで新たなクレドを作成し、日々確認を行いながら、理念の浸透に継続的に取り組みたいと思います。
◆私も院長職に就いて改めて「在宅医療は人に始まり人に終わる」ということを強く実感しています。住み慣れた場所で暮らす患者さんとご家族の幸せを支えるためには、患者さんの願いや希望、不安や恐怖にしっかり向き合う必要がありますが、そのためには職員の心の充足、職員の幸せも大切です。職員にここで働き続けたいと思ってもらえる職場づくりのヒントを、貴院の取組や職務体制の構築から得ることができました。身体的、精神的に少し余裕をもって働ける環境を整えたいと思います。
◆永井先生が「良いことをやっているという自負があるなら、ぜひそれを発信するべき」と仰ってくださったことが強く心に残っています。対外的な取組を行うこと、自分たちを知ってもらうこと、そして外からの情報や人材を取り入れ、常に活気と刺激のある職場を維持すること。継続するのは大変なことですが、これもぜひ当院で見習いたいと思います。
◆今回、貴院を見学させて頂いて、自分たちの進もうとしている方向性が、間違っていないということが分かり、大きな勇気をもらうことができました。
◆朝のミーティングに参加させて頂き、クレドを導入し朝のミーティングで読み合わせ、職員が忘れることなく常に志すことができる仕組みは、皆で同じ方を向き同じ方向性を持って仕事をする上で必要なことだと感じました。
◆今回私は貴院の先生方の動きも拝見したいと考えておりましたが、私も診療の帯同看護師という立場から、同じお立場の看護師さん方の動きを一番楽しみにしておりました。看護師さん方と先生の関係性も良く、お互いに信頼し相談しあえる関係だからこそお互いの意見を出し合い、患者さんにとってより良い状態とはなにかを話し合えるのだと感じました。
◆診察にはPCカルテを持ち込まず、その場でカルテ記載をしていないのが私の中では1番の衝撃でした。その場でカルテ記載をしないということは、診察の間しっかりと患者さん・ご家族にだけ向き合える時間になっており、メリットデメリットはあるかと思いますが、その状態に共感し当院でも仕組みを検討しようと思いました。
◆「Doing」 (施す)のではなく、「Being」(寄り添う)べき」や「穏やかな死を医療が邪魔しない」というお言葉は、診療行為を優先しがちになってしまいがちな医療現場の問題点であり課題であると感じ、その場で思いつくできることでなくやるべきことを医療者本位でなく、患者さん本位で考えていこうと思いました。
日揮株式会社、株式会社上田電子開発の皆さま
全国各地で病院、健診センターなど数多くの先進的建設プロジェクトを展開していらっしゃる日揮株式会社から2名様、松山市で医療系クラウドシステムなどのシステム開発を行っている株式会社上田電子開発から2名様がご見学にご来訪されました。
見学後の感想(一部抜粋)
◆目に見えない色々な境界線をスタッフの皆様が発想し、協力して一歩、二歩、三歩と越えていく(はみ出していく)意識と実践が素晴らしいです。大きな病院も見習ってほしいです。
◆病院に勤めていた時に、様々な「エゴ」を見てきましたが、そのエゴの一つ一つをクリアされ、質の向上につながっていることに皆様のすごさを感じました。
◆死とどう向き合うか、向き合うための準備と体制の構築は大変だったと思います。その為には心のゆとりを考えたシステム、疲弊しないためのシステムの構築があるからこそ、高い質を維持できていると感じました。「誰も無理をしないこと」、その重要性について再度確認できました。
◆朝の全体ミーティングに参加させていただき、現場の空気感と皆様の意識レベルの方向性を合わせようとする姿に、対面でのミーティングの重要性を改めて認識しました。
◆ITシステムに関する情報を詳しく説明していただきました。10年以上前からITシステムの重要性、インターネット環境化のツールの活用などに取り組まれていたのには、とてもすごいと驚きました。
◆永井先生の動画を拝見して、まず在宅医療の仕組み、制度について、とても詳しく把握されて、それをわかりやすく動画や資料にまとめられている事、すごい労力を割いてまでも実施されている点には敬服致します。在宅医療の仕組みや制度をわかりやすく患者様や家族様に説明、お話している姿にも、この事業にかける永井先生の思いが伝わってきました。
◆理念を全体で共有しながら日々変化し成長することが大切であることがよく理解できました。そして、その活動や内容を多くの人に知っていただくためにも、あらゆるメディアやツールを使って発信することができて初めて認められること、私の事業にも当てはめて考え直していきたいと感じました。
◆「理念・システム・人材」の考え方は、おそらく一般企業にも当てはまるところがあり、特に「理念」というところについては、人数が多くなればなるほど、方向性や意識の統一が難しくなってくるところだと思います。毎朝のミーティングで、情報だけではなく時間や空気も共有することで、参加者の意識の改革・変革に成功しているのはすごいと思った。様々な事柄に対して、役割や必要なことがはっきりしていて、しかもわかりやすく文章化されていることも、理念の共有化、浸透に役立っていると思った。
◆「ゆるやかな主治医制」や職員が疲弊しない仕組みを構築して実践することで、患者の方にも優しくできる、「いつでも相談してください」という言葉は、自分に余裕がないと言えない言葉だと思うし、自分に優しくできないと他人にも優しくできないと思っているので、とても良い制度、仕組みと感じた。
◆在宅医療を通して地域を良くしていくということで、医療が患者やその家族だけではなくより大きな共同体も良い方向に変えていく・変えていける可能性を持っていることを認識できた。
いとう歯科 伊藤充孝 院長
高知市にある「いとう歯科」から院長の伊藤充孝先生がご見学に来訪されました。一般歯科診療をされながら、毎日訪問歯科診療もされていらっしゃいます。「今後、もっと訪問にシフトしていき、少しでも多くの方の力になりたい」との強い想いから、今回の当院ご見学の運びとなりました。
見学後の感想(一部抜粋)
◆私の見学の目的は、医師看護師とそれ以外の多職種の大勢のスタッフがどのようや役割、責任、システムで動いているか、実際の訪問診療がどのように行われているか、でした。いい物は貪欲に吸収するつもりで臨みました。
◆朝のミーティングは、オフィスで働く方々の迫力、活気、エネルギッシュな動線の交差、多職種間に飛び交う意見に感動を覚えました。開業をしていなければ「ここで働きたい」と純粋に思いましたので、自院もそうなるよう創り上げないといけないと課題を認識しました。
◆なんでも相談室の「病院回り」には現在地に胡坐をかかない姿勢に感嘆致しました。経年的に各部署の顔ぶれが変わることや、どこから紹介を受けたかがデータとして一目瞭然となり狙った所に「営業」を掛ける大事さを知りました。
◆訪問診療に同行させて頂きました。患者さんやそのご家族への配慮と明るく振る舞われ患家と一体になる診療のご様子を目の当たりにしまして、自分の日頃の訪問診療も決して間違っていなかったと自己採点できましたことは大きな収穫でした。自分が患者だったら?こういうマインドの医療者にみてもらいたいです。また、車中ではずっと疑問としてくすぶっていた人工呼吸器離脱のお話も聞くことができました。看護師さんの優しさ、目の配り様は当院スタッフも見習うべき姿勢として帰高翌日の院内で真っ先に伝えた話題となりました。
◆言語聴覚士さん、歯科衛生士さんには実際の患者さんについて有意義な意見交換をすることができました。基礎疾患の病態を念頭に誤嚥をしていても肺炎にさえしなければいいことで意見の一致をみました。
◆管理栄養士さんには食支援の貴重な動画の解説をして頂きました。「最期まで食べる」を叶えるため必然的に多職種が一枚岩になって連携することの真骨頂でした。震えました。(途中ちょっと泣いたかもしれない…)
◆永井先生とお話をする時間も頂きました。「いくらいいことをしていても発信しなければ人は来ない」との言葉、心に刻みました。良い活動をして発信すること、スタッフが疲弊しないシステムは急務と思われました。目の前の患者さんにベストを尽くし、その先にある地域、文化も変えていくお話には感銘を受けました。旧態依然の歯科の常識を変えていきたい思っておりますのでエールをもらった心境です。
◆このような見学の機会を設けてくださいましたことに心から感謝申し上げます。ゆうの森さんでの出会いも高知の歯科医療を変える一つの燃料、栄養となったことは間違いありません。本当にありがとうございました。
当院ご見学、一週間後のご様子
◆見学で刺激を受けたことを衛生士に伝え、改めて当院の今後の方針内容(訪問歯科と摂食嚥下障害の診療)を確認しました。高知のじーさんばーさんの安全な食を担保するため、高知の歯科を変えるため、今後も力を貸してくれよ、と。
◆『さいごはおうちで』『おうちに帰ろう』を計10冊購入しました。衛生士に熟読するよう言いました。テストをするよ、とも。えー!っと言って嬉しがっておりました。
◆永井先生に教えて頂いた高知で訪問診療されている医師に面会のアポイントを取りました。真の意味で医科歯科連携、多職種連携が進む建設的なお話ができるはずと思います。新たな一歩です。
星の岡心臓血管クリニック 藤井昭 先生
愛媛県松山市にある「星の岡心臓血管クリニック」から藤井昭先生がご見学に来訪されました。循環器疾患を中心に一次予防から二次予防、終末期の緩和医療まで、外来・入院・訪問・リハビリテーションの4つの部門に分かれて診療を行っていらっしゃるクリニックです。
見学後の感想(一部抜粋)
◆朝のミーティング
挨拶から始まり、全員が一つにまとまっている一体感を感じました。
その基礎には患者さんへの想いを感じます。在宅診療においては解決が難しい問題を多く経験しますが、みんなで相談し、結論は出なくても、そのプロセスを大事にしておられ、患者さんを支えられている姿が、まぶしく感じました。
◆意見交換
情報共有に関して担当事務と「なんでも相談室」の相談員と意見交換をしました。
患者さんらしい最期を迎えるために、より満足したよりよい形を常に追求している姿勢をそれぞれの立場から教えていただきました。
◆昼食
エビのぷりぷり感が半端ない焼きそばでした。
食支援に力を入れられているクックラボの力を感じました。
◆法人理念について意見交換
永井先生との意見交換での私の率直な感想は、在宅医を始めたばかりの私にとって、その道筋を示してくれる内容でした。特に在宅医療から医療を変え、地域を変え、文化を変えるということと場を強く心に残りました。
その根源には患者さんがどんな最期を迎えたいのかを中心に、地域医療の最後の砦となり、困難から逃げずに一緒に考えていく姿があります。
多死社会において死に遭遇する機会が多くなっております。医療は生を診ることを追っていた時代であったが、死を診ることにも目を向ける必要があると常々考えています。
ひとりひとりの人生、長い歴史が終わる瞬間である死に対して想いを向けることは尊いことであると同時に、人生の先輩であるその方の人生を尊重することとなります。看取りの質を高めるという言葉が深く心につきささりました。
◆見学を終えて
1日の見学でしたが多くのことを学ぶことができました。これからの診療にいかしていきたいと思います。最後に、多くのスタッフの皆様に親切に対応して頂き、最初は緊張していましたが、最後は楽しく過ごすことが出来ました。ありがとうございました。
奈良県立医科大学 森克斗 様 安納悠馬 様
奈良県立医科大学の森克斗様と安納悠馬様がご見学に来訪されました。
公衆衛生をご研究される中で、在宅医療に興味を持ちはじめ、YouTubeで在宅医療についてわかりやすく解説している永井先生のチャンネルに辿り着いたそうです。そして在宅医療や多職種連携についてより深く理解したいという思いから今回のご見学へと繋がりました。
見学後の感想(一部抜粋)
◆今回の見学で、授業では普段あまり学ばない多くのことを学ばせていただきました。
今まで見学させていただいた在宅クリニックでは朝のカンファレンスを多職種での合同で行っているところはなく、新鮮で感激しました。
朝の多職種によるカンファレンスが行われているからなのか、スタッフみんなが、実際に患者さんに一番良い医療を提供することを最優先に考えていて、またお互いの職種への理解と配慮ができていて、雰囲気の良い職場だと思いました。
◆有床病棟を持つことで、受け入れる患者数を増やし、法人全体の経営をうまくしていることが理解できました。沢山の職種の人を雇用し、経営していくスタイルが他の医療機関でも再現可能なのかということをもう少し研究したいと思いました。
◆公衆衛生学を勉強する中で、多死社会がすぐに訪れる為、国政として訪問診療が大きく注目されていることを知り、たんぽぽクリニックを知るに至りましたが、今後とも発展が期待される訪問診療の現場を見学させていただき感謝しています。
◆今回の見学では在宅医療や看取りについて多くを学ばせていただきました。
見学を通して感じた たんぽぽクリニックの最大の特長は、多職種での連携がしっかりと図られていることだと思いました。東日本大震災の支援を行った際に、リハビリやマッサージなどが喜ばれた経験なども、多職種で訪問診療を行うきっかけになったことを知りました。多職種が連携をすることで、様々な課題に多面的に関わることができ、患者・家族の安心を目指すことができます。
◆季節に合わせた催しや、多種にわたる勉強会などの様々なイベントの開催も行っておられ、「究極は街づくり」を目指されているのが素晴らしいと思いました。
在宅医療学生団体hoMedの皆さま
在宅医療学生団体hoMedに所属する大学生5名がご見学に来訪されました。 在宅医療学生団体hoMedとは、在宅医療に熱い思いを持つ学生が活動を通して互いを磨き合える環境を作りたいと考え結成された団体です。 在宅医療に熱い想いを抱いてらっしゃる大学生が全国各地から愛媛・松山の地に集って来られました。
見学後の感想(一部抜粋)
◆患者さんの生活に寄り添うためには、知識を持つことはもちろんのこと、患者さんの普段の生活をしっかり把握して患者さん目線で考えるということが大切であると感じました。
◆たんぽぽのおうちのロビーが印象的でした。こちらのロビーは、たんぽぽのおうちにいらっしゃる患者さんのご家族が出会って様々な話をし、悩みの共有・解決の場にすることを目的に設置されたというお話を聞き、そのような発想に驚きました。そのような場を医療機関から提供していらっしゃることに、感銘を受けました。
◆在宅「専門」クリニックを開くにあたる永井先生の思いに心を打たれました。永井先生の思いである「医師の都合ではなく、患者の都合で医療を提供する」ということに、私が目指している医師像が共通していたのですが、貴院ではスタッフの疲弊を防ぐシステムづくりをされ、理想だと思い始めていたこのことを実現されていることに驚きました。
◆貴院の職員さんは法人の枠を越えて他の職種の方のことをリスペクトしているような気がしました。こうした姿勢があるからこそ、よりよいケアを追求できているのだと思います。
「なんでも相談室」相談員の説明で多職連携は1+1=3になるというお話がありました。訪問でのこの体験を通じて、1+1=3の意味を実感できたような気がします。
◆管理栄養士さんや永井理事長のお話を聞いて、普段あたり前のようにしている「食べる」という行為がいかに幸福に寄与していたのかということを考えさせられました。
◆早い時期から在宅医療専門クリニックとして設立され、在宅医療と言えば「たんぽぽクリニックさんでしょう」と言われ、貴院に行けば、何か在宅医療の原点が見えるのではないかと思い、訪問させて頂きました。探していたその原点は、永井先生の情熱であり、固い意志であり、覚悟であり、実行力であると思いました。そして、そこで出会ったのは人と様々な取り組みでした。
◆永井先生から「若い内から在宅医療のことを知って興味を持ち、目指しているなんて自分の頃には考えられなかったよ」と言われましたが、それはこうしてここでその礎を築き、継続し、発信してきて下さった先生方がいらっしゃる恩恵を私達の世代が受けていることに他なりません。
◆朝の全体ミーティングに参加させていただいたところから、自分には衝撃がありました。1日の業務内容をオンラインと職員全体で「情報共有」をしていることを目の当たりにして「多職種連携」を実践していることに驚きがありました。今まで、「多職種連携」とは何となく患者さん1人を多職種で連携するというイメージしかありませんでしたが、全体ミーティングに参加してみて「多職種連携」のイメージががらりと変わりました。
◆患者さんたちはおだやかに診察を受けてられていて、自身の病状についても生き生きと話されているのを見て在宅医療は診療の原点になるものであると感じました。またドクターたちの言葉使いや聴診器の当て方なども見ていて、優しく行われていることを側で感じることができました。
◆初めて訪問リハの様子を見学させてもらいました。とても貴重な経験をさせていただきました。理学療法士さんがいろんな話をしてくださいました。その中でも「やりたいこと支援」の話が一番心に残っています。末期がんで余命宣告をされている患者さんが、やりたいこと支援を通して、やりたいことを叶えた後に元気な状態にまで復活した事例もあるということを聞いて、なるほどそんなこともあるんだなあと思いました。
◆医療者として、患者さんの身体の機能だけを見るのではなく、目の前の患者さんがどんな人生を送ってきたのか、その人が大事にしてることは何なのか、最期をどんな風に迎えたいのかなど、医療者である前にまずは一人の人間として対峙していくことが、本当の意味での"生きる"ということを支えることが出来るのではないかなと感じました。
◆自分1人でやれることには限りがあるからこそ、いろんな専門性を持った人が協力して一つの物事をやり遂げる。そのために多職種連携が必要なんだなと感じました。
徳島大学医学部医学科 下野貴裕 様
徳島大学医学部医学科の下野貴裕様がご見学に来訪されました。以前当院をご見学いただいた方からのご紹介もあり、「是非とも在宅医療の現場を知りたい」との熱い想いをもって、医師だけではなく多職種と交流をされました。
見学後の感想(一部抜粋)
◆朝の全体ミーティングで最初に感じたのは、皆さんが1つにまとまっておられるということです。ミーティングは医師だけでなく、看護師から管理栄養士、事務の方々を含めたすべての職員さんで行っておられました。全ての職種で方針を固め、統一し、皆さんで1つの所に向かっておられるように感じられました。
ミーティングルームにはパーテーションなどの区切りや壁が少なく、職種間での意思疎通がしやすいように施設内にも工夫がなされていました。
◆永井先生と診療の同行もさせていただきました。
永井先生の診察を見てまず感じたのが「ご近所さん同士のようであること」ということです。永井先生は淡々と診察のみをされるのではなく、患者さんの会話をしながら診察をされていて、患者さんと心が打ち解けておられるように感じました。
患者さんは永井先生に心を開いておられ、薬を飲むことを疎かにしてしまっていることや、飲んではいけないと言われていた栄養剤を飲んでしまっていることまで正直に何でも話しておられました。
◆永井先生との意見交換の時間も設けていただきました。
その中で、たんぽぽクリニックがどのような医療提供を目指しているのか、医師をはじめとする医療従事者がどうあるべきかについて教えていただきました。医療を施すことに満足するのではなく、患者さんが本当に望んでおられるのは何かを患者さんの立場になって考え、最期まで納得のいくサポートをすべきだと思えるようになりました。
◆今回の見学で、これまであまり深く考えていなかった医療の在り方や死について考えさせていただきました。このような素晴らしい見学の機会をいただき本当にありがとうございました。
コールメディカルクリニック福岡 冨岡慎一 先生
福岡県宗像市にある「コールメディカルクリニック福岡」から冨岡慎一先生がご見学に来訪されました。在宅医としてご多忙な中、在宅医療専門医に関する他施設交流研修の機会にあわせてご見学いただきました。積極的に様々なことを吸収されるお姿に、熱い想いを感じました。
見学後の感想(一部抜粋)
◆3日間診療同行をさせて頂きましたが、どの先生方も揃ってとても話しやすく穏やかで、ホスピタリティ豊かな先生方で、患者さんもきっと先生方の雰囲気に安心されるだろうという印象を受けました。看護師さん達も随所に人の良さが滲み出ていて、患者さんも来てもらうだけでも嬉しく感じると思いましたし、実際温かく迎えて頂きました。
◆患者さんにとって最後まで残る「楽しみ」が食べることであるのはよく実感しているので、その分野に力を入れて具体的な品の開発を続けているのはとても素晴らしいと思いました。
◆診療サポートの面では、なんでも相談室の存在が大きいと思いました。地域連携業務を担う看護師やMSWはどこの診療所にもいますが、ゆうの森は人数的にも業務内容的にも相談室の役割がキーになっていて、イベント企画や広報的な仕事までこなしているのがユニークだと思います。
◆オンラインツールは日進月歩だと思いますが、キントーン内でのアプリ開発も含めて業務連携がスムーズに進むシステムを作り出す能力を法人が備えていることにこれからの組織のビジョンを見た気がします。
◆永井先生も時間を十分にとってくださって、法人の理念から最近の取り組み、独立した後の先生方のことなどなど、和やかな雰囲気の中で、他では聞けないたくさんのお話を頂きました。
◆そして、私にとってとても有難かったのは業務サポート室の「おもてなし」です。常に気にかけてくれて、有意義なお話から雑談、雑学まで、色々とお話を聞かせてくださったり、院内を案内してくださったり、夕食のことまで気にかけてくださったり、とても心強く、温かく感じていました。さらに、どのような来客にも同じようなおもてなしをされていると聞いて驚きました。
◆皆さんが貴重な業務時間内の多くの時間を割いて接してくれるのが想像以上で、とても驚きました。一体どうやったらこんなグループになるのだろうというのが率直な感想です。これまでの人生で見学した法人の中でも最優良と言ってもおかしくないと思っています。
医療法人あんず会 杏クリニックの皆さま
平成28年に埼玉県狭山市に開院した、訪問診療を中心としたクリニック「医療法人あんず会 杏クリニック」から院長の鬼澤信之先生をはじめ4名様がご見学に来訪されました。
「住みなれた我が家で自分らしく快適な療養生活を」との想いが感じられ、お互いに良い刺激となりました。
見学後の感想(一部抜粋)
◆職員の方々にもクレドに掲げられた理念が浸透しており、とても親切にご案内いただきました。医師だけではなく同じ方向を向いた多職種が診療を支え、患者さんの安心につながっていることを感じました。
◆理念の共有、考えの共有を当院の課題としていますが、朝礼での議論がそこにつながっているとのことで、当院でも活かしていけたらと考えております。
◆時間に追われる日々の中で、多職種で話し合い、1人1人の患者様の「今後はどのようにしたらより良いのか」を話し合う朝の全体ミーティングの充実した時間は、とても重要であると感じました。
◆たんぽぽのおうちも見学させていただき、入院と在宅のつながりを知ることができました。患者様にとって、とても心地よい空間だろうと思いました。食事のことについても、ムース食の様々な工夫に感動しました。
◆患者様のご家族は、死が近いづいてくると「何かしてあげないと」「点滴もせずに看るだけなんてできない」などの声はよく上がってきます。その気持ちに寄り添うのが優しさだと思っていましたが、患者様ご本人のお気持ちを考えるのであれば、何もしないことも悪いことではないのだと、とても勉強になりました。
医療法人社団 更新会 丸亀林病院の皆さま
香川県丸亀市の旧市街地にある開院60年余りの歴史ある病院から、林事務長様をはじめ4名様がご見学に来訪されました。「地域に在ってよかったと思われる組織、職員が勤めてよかったと思える組織を残したい」との熱い想いを感じました。私たちの取り組みが、さらなる発展の一助になると幸いに思います。
見学後の感想(一部抜粋)
◆永井先生を中心に「患者さんの望む」と「医療を最小限に」の境目を意識し共有されているのだと思いました。当院の大きな課題と感じ、理念・システム・人材を構築したいと思います。
◆「多職種チームの連携・結集が原動力で、どの職種もプロ意識をもって役割を遂行する」これが患者さん・ご家族の人生を支える医療提供の質を上げる相乗効果を生むのだと感じました。
◆朝の全体ミーティングを通して、多職種での情報共有、方針の統一を確認しあえることの重要さに共感しました。
◆患者宅での診療の中で違う医師が訪問していた時の情報も把握できており、患者さんがどんな生活を送っていて、どうしたいのかなど、患者さんに寄り添った治療が行えていることがよくわかりました。疾患に対する治療だけではなく患者さんの生活がより良くなるように考えているのだなと強く感じました。
東京ふれあい医療生活協同組合 梶原診療所 医師 北川隆太様
4月からご実家の診療所(群馬県桐生市)にて在宅医療に携わる予定との事で、ご見学に来訪されました。診療同行や意見交換を通じ、たいへん熱心にご質問いただき、北川先生の優しく謙虚なお人柄に、私たちも学ばせていただいた気持ちです。
見学後の感想(一部抜粋)
◆私が今まで学びたかったことを、沢山学ばせて頂けました。
運営面に関しまして。毎朝の全体ミーティングの濃密さ、段取りのスムーズさ、ICTの活用方法に感動しました。複数医師体制の中で、医療の質を担保するための努力・情報共有をするための努力が必要なことを、改めて感じました。
◆私達が普段行っている診療内容・雰囲気と矢野先生の診療が同じであり、「あぁ、やっぱりこれで良かったんだ!」と、自分の診療スタイルに自信を持つことが出来ました。他の診療所の先生が同じように頑張られている姿を見させて頂くと、こんなにも力が湧いてくるのか、と驚きました。
◆ファーストコールを看護師がされている制度も素晴らしく、医師の負担を軽減しつつ、看護師の負担も軽減(往診希望であれば、基本往診で医師へ伝えるルール)されている点や、看護師も学んで成長する部分など、大変参考になりました。
◆新規の患者に対してソーシャルワーカーと看護師がタッグを組んで福祉・医療両面から対応できること、専属でスタッフを配置されていること、インテークの情報量の多さ、キントーンでの速やかな情報共有や統計、データを見てのマーケティングの判断、各種判断の自立(それによるやりがい)など、本当に多くの学びを得ました。
◆普段自分が行っている診療の意味、何をすべきなのか、改めて原点に立ち返ることが出来ました。と同時に、それを発信するために沢山の写真や動画を残されている努力、それを自分もしなければいけないことを感じました。発信しなければ、知って頂くことが出来ないことを強く意識出来ました。
◆永井先生のお姿を見て、桐生市でやっていく覚悟が改めて固まりました。うまくいくかは分かりませんが、精一杯やってみようと思います。
医療法人ナカノ会 ナカノ在宅医療クリニック の皆様
見学のご様子
1999年に鹿児島県鹿児島市で開業され、たんぽぽクリニックと同様に地域の在宅医療のパイオニアとして尽力されてきたナカノ在宅医療クリニックの中野一司先生はじめ4名様がご来訪され、在宅療養支援のための病床「たんぽぽのおうち」を見学されました。
数年後に、有床診療所として病床の開設を検討されており、建物・設備の構造をはじめ、運営・業務・食支援に至るまでたいへん熱心にご質問いただきました。
新型コロナ感染拡大による延期を経て実現した今回のご見学でしたが、将来の病床開設のご参考になりましたでしょうか。たんぽぽクリニックとほぼ同じ年数、在宅医療に取り組んでこられたナカノ在宅医療クリニックのさらなるご発展の一助となりましたら幸いです。
特定医療法人長生会 大井田病院の皆様
見学後の感想
卒後、主に急性期病院で勤務してきましたが、「患者に最期まで寄り添う医療」として在宅医を志しておりました。自らの診療の幅、スキルが広がれば、在宅でのQOL向上の来院(病院受診)の手間を省かせてあげることができるのではないかと、ここ1年は在宅で役立てられそうな手技のトレーニングを行ってきました。
検査に関しても、在宅で行える範囲が広がれば、客観的所見を交えながら体調管理ができる…と考えておりましたが、永井先生から"doingではなくbeing""患者本位の医療を"とお話しを受け、自分の考えは在宅医療の本質からズレたベクトルを持っていたのではないかと衝撃を受けました。
食べられなくなった時の選択肢提示や終末期における点滴等、頭ではわかっていても、それを噛み砕いて、本人や家族に十分伝わるような言い回しができていただろうか?医学で線引きをして楽しみを取り上げていなかっただろうか?と、今までの自分の姿勢を思い起こし、多々反省しました。
患者本位の医療は、多くの病院が理念として掲げる文言かと思いますが、ここまで徹底して職員一丸となって実践している場は希有ではないでしょうか。皆が本気だからこその衝突もあるのかもしれませんが、自分たちがクレドに沿って、患者のためを思って仕事をしているという自負や誇りのようなものを感じさせて頂きました。